CW@超時空迷子一行の軌跡〜記憶喪失者にでたらめを吹き込んでみた〜
その日、ある出来事が冒険者達を襲った。
「どうして拙者たちがこんなことを……」
おぼろ丸にしては珍しくいらだった様子で足を運ぶ。ほかの面々はもう話をする気力もない。
「仕方がないですよ。最近は依頼が少ないですから……」
そんな彼をなだめるように翔がフォローを入れる。
とある依頼の帰り、山を下山し始めてから10分ほどたったときのことだった。
「ゴブリンでござる!」
おぼろ丸が血走った目で刀を構える。どうやら相当に苛立っているようだ。
「待て、おぼろ丸! そこら辺よく滑るから気をつけ」
「アッー!!」
「言ってる傍から転んだー!?(ガビーン)」
「あー……ゴブリンたちは別の方向行っちゃいましたね……」
滝夜叉丸がやけに遠い目をして呆然とゴブリンたちを見送っていった……。
「それよりこいつ大丈夫なのかよ?」
エッジが昏倒したままのおぼろ丸を覗き込む。
「あ、ああ、今から診る。
ええと、脈は正常だし呼吸もしてる。打ったところは……後頭部か」
「で、結局どうなんだよ?」
「大丈夫みたい。頭を強く打ってるみたいだけど命に別状はないみたいだし、今は気絶してるだけみたいだな。
なるべく場所を移さずにこのまま寝かせておくほうがいいと思う」
そう言ってヒイロは陽が沈む方向を見た。たとえ今から下山しても道中で夜になってしまうだろう。
「分かった。今夜は野宿だな」
八左ヱ門が苦笑しながら薪を探しに出かけていった。
日が暮れたころ、おぼろ丸は目を覚ました。
「いてて……」
「あ、おぼろ丸さん起きましたか? ……あの、頭のほうは」
翔が濡れタオルをおぼろ丸の後頭部に当ててやる。
「はぁ、大丈夫だけど……」
誰だろうか、この人たち。おぼろ丸の頭の中を疑問符が駆け巡る。
「おいおぼろ丸、お前本当に大丈夫なのか? いつもと口調が違うぞ?」
滝夜叉丸が心配そうにおぼろ丸の顔を覗き込む。
「あの……。失礼ですがあなたたちは一体?」
「「「「「…………」」」」」
しばしの間、沈黙が流れる。
「え、えっと……。オレたちのことも忘れちまったのか?」
オレ、エッジだぞ? 覚えてない? そんなことを言いながら自分の顔を指差す。
「……忘れたというと?」
またもや答えに窮する一同。
「えっと……。う、嘘だよな! 俺たちが分からないっていうのは……」
「いや全然」
その答えにメンバーは愕然とした。何よりもその流暢な言葉! ござるござる言っていたあのおぼろ丸はどこへ行ってしまったのか!?
「まさか本当に分からないのか?」
こくこくと頷くおぼろ丸にヒイロはしばし考え込んだ後、「じゃあ簡単なテストをしてみるから付き合ってくれないか?」と切り出した。
「で、テストの結果は?」
「どう見ても記憶喪失です本当にありがとうございました」
ヒイロはそう言って肩をすくめた。
「原因は……」
「あれしかないでしょー? あんだけ頭強く打ってるんだもん。
それも俺たち、冒険者に関することだけみたいだね。あと元の世界とか」
(とは言ったものの、本当にあるんだなこんなこと……)
ヒイロがそんなことを考えている横でそれを聞いていた翔がさっと顔を青ざめさせる。彼女も記憶喪失なのだ。
「それは大変ですよ! どうすればおぼろ丸さんの記憶は戻るんですか!?」
焦る翔にヒイロはふと思いつく。
「いや待てよ。先にあいつに今の状況を説明しといたほうがいいんじゃないか……?」
「?」
自分に視線がいっせいに集まったことに、おぼろ丸は小首をかしげる。
「ああ、オレたちの格好を見て逃げ出されると厄介だしな」
けど格好を見て逃げ出されるオレたちって一体。エッジの脳裏をそんな疑問を通り過ぎた。
「あ、あのう……。さっきから気になっていたんですが、あなたたちは一体……?」
さて、おぼろ丸に自分達のことをどう告げたものか……ヒイロは頭が痛くなった。
以下追記。
そんなヒイロを尻目にほかの仲間はどんなホラを吹こうかと相談しあっていた。
「普通の冒険者パーティとかはあれだろ、平凡すぎる」
「じゃあ有名な冒険者パーティとかどうですか?」
「ええー、それもいまいち……ここはいっそ意表をついて盗賊団の殺人部隊なんてどうでしょうか!?」
「それはやめといたほうがいいぜ。ヒイロって確か盗みに入ろうとしたところをあいつに見つかってボコられたんだろ?」
「ちょ、そんな話初めて聞きましたよ!? ヒイロのやつ、前に盗賊ギルドに所属してたってことぐらいしか話してなかったのに……」
「あーそれ俺も親父さんから聞いた! なんか物音がするから泥棒かと思って起きてみたら刀持った忍者に追い回されてた泥棒が涙目で親父さんに助けを求めてきたとかって」
「ぶっ……! それまさかあいつらのことじゃねえだろうなwww」
「いやいくらなんでもそれはww ひwどwいwwwww」
「とりあえず盗賊の殺人部隊もナシですねwww ほかに何かいい案あります?」
「リューン騎士団……はさすがに説得力ないよなぁ」
「私たちの格好のどこが騎士団に見えるんですか一体」
「じ、実は侵略してきた宇宙人……とか」
「「「それはない」」」
「駄目か」
「駄目です」
「駄目だな」
「駄目でしょう」
「何だよお前ら! もういいよ、勝手にやってろ! フンだ!」
「拗ねないでくださいよ、エッジさん最年長でしょ?」
「ほかに何かいい案ないですかねー?」
「……………………」
その話を場外で聞いていたヒイロの中で何かが音を立てて切れた。
おもむろにおぼろ丸の前にしゃがみこむ。
「あのな、おぼろ丸。俺たちは………………
勇者とその御一行なんだ」
「「「「な、なんだってー!?」」」」
ほかの4人が一斉に振り返る。
「……嘘だろ」
「え」
「いくら何でも、いまどき勇者なんてなぁ……記憶喪失中の俺でも嘘って分かるぜ」
その後、おぼろ丸とヒイロの会話は見事に凍りついた。
「予想の斜め上をいったと思ったんですけどねー」
「いやさすがにアレはないだろ」
「やっぱりヘタレのヒイロではあんなものか」
「ヒイロじゃ仕方ないな」
「お前ら……!」
「どうして拙者たちがこんなことを……」
おぼろ丸にしては珍しくいらだった様子で足を運ぶ。ほかの面々はもう話をする気力もない。
「仕方がないですよ。最近は依頼が少ないですから……」
そんな彼をなだめるように翔がフォローを入れる。
とある依頼の帰り、山を下山し始めてから10分ほどたったときのことだった。
「ゴブリンでござる!」
おぼろ丸が血走った目で刀を構える。どうやら相当に苛立っているようだ。
「待て、おぼろ丸! そこら辺よく滑るから気をつけ」
「アッー!!」
「言ってる傍から転んだー!?(ガビーン)」
「あー……ゴブリンたちは別の方向行っちゃいましたね……」
滝夜叉丸がやけに遠い目をして呆然とゴブリンたちを見送っていった……。
「それよりこいつ大丈夫なのかよ?」
エッジが昏倒したままのおぼろ丸を覗き込む。
「あ、ああ、今から診る。
ええと、脈は正常だし呼吸もしてる。打ったところは……後頭部か」
「で、結局どうなんだよ?」
「大丈夫みたい。頭を強く打ってるみたいだけど命に別状はないみたいだし、今は気絶してるだけみたいだな。
なるべく場所を移さずにこのまま寝かせておくほうがいいと思う」
そう言ってヒイロは陽が沈む方向を見た。たとえ今から下山しても道中で夜になってしまうだろう。
「分かった。今夜は野宿だな」
八左ヱ門が苦笑しながら薪を探しに出かけていった。
日が暮れたころ、おぼろ丸は目を覚ました。
「いてて……」
「あ、おぼろ丸さん起きましたか? ……あの、頭のほうは」
翔が濡れタオルをおぼろ丸の後頭部に当ててやる。
「はぁ、大丈夫だけど……」
誰だろうか、この人たち。おぼろ丸の頭の中を疑問符が駆け巡る。
「おいおぼろ丸、お前本当に大丈夫なのか? いつもと口調が違うぞ?」
滝夜叉丸が心配そうにおぼろ丸の顔を覗き込む。
「あの……。失礼ですがあなたたちは一体?」
「「「「「…………」」」」」
しばしの間、沈黙が流れる。
「え、えっと……。オレたちのことも忘れちまったのか?」
オレ、エッジだぞ? 覚えてない? そんなことを言いながら自分の顔を指差す。
「……忘れたというと?」
またもや答えに窮する一同。
「えっと……。う、嘘だよな! 俺たちが分からないっていうのは……」
「いや全然」
その答えにメンバーは愕然とした。何よりもその流暢な言葉! ござるござる言っていたあのおぼろ丸はどこへ行ってしまったのか!?
「まさか本当に分からないのか?」
こくこくと頷くおぼろ丸にヒイロはしばし考え込んだ後、「じゃあ簡単なテストをしてみるから付き合ってくれないか?」と切り出した。
「で、テストの結果は?」
「どう見ても記憶喪失です本当にありがとうございました」
ヒイロはそう言って肩をすくめた。
「原因は……」
「あれしかないでしょー? あんだけ頭強く打ってるんだもん。
それも俺たち、冒険者に関することだけみたいだね。あと元の世界とか」
(とは言ったものの、本当にあるんだなこんなこと……)
ヒイロがそんなことを考えている横でそれを聞いていた翔がさっと顔を青ざめさせる。彼女も記憶喪失なのだ。
「それは大変ですよ! どうすればおぼろ丸さんの記憶は戻るんですか!?」
焦る翔にヒイロはふと思いつく。
「いや待てよ。先にあいつに今の状況を説明しといたほうがいいんじゃないか……?」
「?」
自分に視線がいっせいに集まったことに、おぼろ丸は小首をかしげる。
「ああ、オレたちの格好を見て逃げ出されると厄介だしな」
けど格好を見て逃げ出されるオレたちって一体。エッジの脳裏をそんな疑問を通り過ぎた。
「あ、あのう……。さっきから気になっていたんですが、あなたたちは一体……?」
さて、おぼろ丸に自分達のことをどう告げたものか……ヒイロは頭が痛くなった。
以下追記。
そんなヒイロを尻目にほかの仲間はどんなホラを吹こうかと相談しあっていた。
「普通の冒険者パーティとかはあれだろ、平凡すぎる」
「じゃあ有名な冒険者パーティとかどうですか?」
「ええー、それもいまいち……ここはいっそ意表をついて盗賊団の殺人部隊なんてどうでしょうか!?」
「それはやめといたほうがいいぜ。ヒイロって確か盗みに入ろうとしたところをあいつに見つかってボコられたんだろ?」
「ちょ、そんな話初めて聞きましたよ!? ヒイロのやつ、前に盗賊ギルドに所属してたってことぐらいしか話してなかったのに……」
「あーそれ俺も親父さんから聞いた! なんか物音がするから泥棒かと思って起きてみたら刀持った忍者に追い回されてた泥棒が涙目で親父さんに助けを求めてきたとかって」
「ぶっ……! それまさかあいつらのことじゃねえだろうなwww」
「いやいくらなんでもそれはww ひwどwいwwwww」
「とりあえず盗賊の殺人部隊もナシですねwww ほかに何かいい案あります?」
「リューン騎士団……はさすがに説得力ないよなぁ」
「私たちの格好のどこが騎士団に見えるんですか一体」
「じ、実は侵略してきた宇宙人……とか」
「「「それはない」」」
「駄目か」
「駄目です」
「駄目だな」
「駄目でしょう」
「何だよお前ら! もういいよ、勝手にやってろ! フンだ!」
「拗ねないでくださいよ、エッジさん最年長でしょ?」
「ほかに何かいい案ないですかねー?」
「……………………」
その話を場外で聞いていたヒイロの中で何かが音を立てて切れた。
おもむろにおぼろ丸の前にしゃがみこむ。
「あのな、おぼろ丸。俺たちは………………
勇者とその御一行なんだ」
「「「「な、なんだってー!?」」」」
ほかの4人が一斉に振り返る。
「……嘘だろ」
「え」
「いくら何でも、いまどき勇者なんてなぁ……記憶喪失中の俺でも嘘って分かるぜ」
その後、おぼろ丸とヒイロの会話は見事に凍りついた。
「予想の斜め上をいったと思ったんですけどねー」
「いやさすがにアレはないだろ」
「やっぱりヘタレのヒイロではあんなものか」
「ヒイロじゃ仕方ないな」
「お前ら……!」
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あとあおボンのGURI【バトン】アナロバツン 特定の人ここに参上、俺の嫁ありがとうぉ!!
バトンは確かにいただきました。
用件のみですみません……折角だから私物紛れこませにでもしろボン描いときます。
四月一日